ファーストミットを最高級レザーで完全手作りしてみた 野球・ソフトボール対応モデルを目指す

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野球

9tool factoryの新たな挑戦!

今回は初めてのファーストミット作成の様子を紹介したいと思います。

これまで9tool factoryでオリジナルキャッチャーミットを作成してきましたが、この度ご要望の多いファーストミットにチャレンジします!

また、ただファーストミットを作るのではなく野球とソフトボールに対応できるマルチな捕球面を持つミットを目指していきます。

ぜひご覧ください!

▼9tool factoryオリジナルキャッチャーミットはコチラの『Cミットの部屋』でチェックできますのでぜひ見てみて下さいね!

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参考にするファーストミットはこちら

ファーストミットを作ろうとした時に必ず要るものがあります。

それは『型紙』です。

これまでキャッチャーミットを作成してきましたが、その際も初めはまずはベースとなる型紙を作成しました。

今回参考にするファーストミットはずばりミズノプロ!

硬式用でガッチリしており、型の良いファーストミットです。

こちらは私のコレクションですが、最高級のこのファーストミットを参考にして型起こしをしたいと思います。

キャッチャーミットを作成した際もそうだったのですが、このミズノプロのファーストミットから型を取り、その後各箇所に何度も調整を加えていきます。

このミズノプロのファーストミットはあくまで新しく作成するための参考となるため仕上がりの型は全く違うものが出来上がります。

各パーツの型を取るため解体する

まずは各パーツを取り出すために解体していきます。

参考とするミズノプロのファーストミットは使い込まれたいるため各箇所変形や劣化も所々に見られました。

バラした各パーツから型紙を作成していくため、なるべくきれいに取り出さないといけません。

大きなパーツから小さな内部のパーツまですべて解体します。

『ミズノプロのファーストミットを解体する…』

なかなか勇気のいる作業ですが、必ずいいモノを作ってやる!

と心を鬼にして挑みます。

 

解体したパーツから型紙を作成

全てのパーツを解体すると、クラフトシートを使い各パーツから型を取っていきます。

注意したいのは使い込まれたファーストミットをベースに型紙を作成するため、各パーツのレザーが変形していること。

変形した状態でそのまま型紙を取り出すと当然組み上げた時にパーツ同士が嚙み合わないといったトラブルが起こってしまいます。

完成品をイメージし、感覚を頼りに各パーツの型紙に微調整を加えていきます。

私はすでに工房オリジナルのキャッチャーミットを完成させているのですが、キャッチャーミットを作成した際には、この型紙作成の工程でかなり苦戦しました。

キャッチャーミットの型紙作成の際は切り出したパーツが短すぎる、長すぎるといった事態に陥り大失敗をしましが、失敗した後に何度も何度も調整を重ね何とか完成させることができました。

一つの製品を作るのにこれだけ多くのパーツの型紙を作成するということはかなり難しいんです。

変形しているパーツを一つずつクラフトシートに貼り付け、そこから一枚一枚パーツを切り抜いていきます。

見た目はアレですが…今回のファーストミット作成でも微調整を繰り返し工房初となるファーストミットの型紙が完成しました。

型紙からパーツを切り出す

型紙を切り出し調整が終わると、いよいよパーツを切り出していきます。

私の工房ではハサミを使用し作成した型紙からひとつずつパーツを切り出していきます。

この作業はとても神経を使う作業です。

手作業の切り出しは、ズレたら終わりの一発勝負。

実際今回のファーストミット作成の際、この切り出しの工程でミスしてしまい、いくつかパーツを無駄にしてしまいました。

まずはウェブ部分以外のパーツを切り出していきます。

背面、捕球面、手の平、指袋、指掛け紐と多数のパーツです。

背面部分、捕球面部分は一枚の大きなパーツ、手の平、指袋は小さなパーツを繋ぎ合わせて一つのパーツとなります。

今回はグリーンレザー、シルバーレザー、ブロンドレザーの三種類を使用しました。

切り出したパーツには一つずつヒモ通し穴をポンチで開けていきます。

ヒモを通す穴となるため一定の間隔を保つよう意識しながら微調整しました。

パーツを切り出すと縫製、組み上げに入るのですが、その前に各パーツがうまく嚙み合うか、ズレている箇所はないか確認します。

パーツの繋ぎ合わせ・縫製

次は切り出したパーツを縫製し繋ぎ合わせていきます。

縫製は今回も手回し八方ミシンを使用し一針ずつ丁寧に縫い付けていきます。

この工程ではやはり縫い目の間隔やズレに気をつけながら進めていくことが重要です。

各パーツにしっかりと仮止めをし、まずは背面の大きなパーツ、レザーラベルを繋ぎます。

このパーツを繋げると一気にファーストミットの形が見えてきます。

ファーストミットは背面パーツの中に手の平部分のパーツを入れ込んでいくグローブに近い設計です。

レザーラベルは9tool factoryのオリジナルロゴを刻印しています。

キャッチャーミットにも採用しておりますが、ナチュラルレザーに9toolの打刻印がとても美しく映えています。

背面にはグリーンレザーとシルバーレザーを使いバランスの良いカラーリングをイメージしながら色を選びました。

次に内部指袋、手の平部、指掛け紐を繋ぎます。

指袋は手入れ感に直結する超重要部位となります。

今回型取りした原型のファーストミットは、やや着用感が浅いなと感じていました。

これは指掛け紐の位置が少し奥にあり親指と小指の掛かりが少し悪くなっているためだと考え、指掛け紐の位置を手前に設定しました。

9tool factoryオリジナルキャッチャーにも心がけているのがこの指の掛かり具合です。

親指、小指がしっかり掛かることによりミットの開閉をスムーズにしてくれます。

各パーツの縫製が終わると背面パーツ、捕球面パーツ、内部パーツを繋ぎ合わせていきます。

位置を確認しズレがないようにしっかり接着します。

ヘリ革取り付け・指芯作成・ウェブ作成

大きなパーツを接着させると、ヘリ革で固定します。

作成した内部指袋部分のパーツもヘリ革で巻き込むことでつなぎ合わせることができます。

ヘリ革を取り付けると大体の完成形の型が見えてきます。

今回は手口部分にブラックのムートンを採用しました。

この手口部分のムートンに関してもヘリ革に巻き込み固定します。

ヘリ革取り付けが終わると次は両指の芯材を作成しはめ込みます。

芯材にはキャッチャーミットにも使用している圧縮フェルトを重ね合わせ厚みを調整し作成しました。

軽くて丈夫で水分にも強いグローブやミットの芯材にとても適した素材です。

ゴワ付きを抑えるためなるべく薄い芯材に仕上げる事を意識しました。

シャープな形状のファーストミットを目指します。

今回はウェブにカラーバンスを考えシルバーとグリーンを採用しています。

どちらもしっかりした厚みとコシのある高品質なレザーです。

ウェブ作成で注意したポイントはサイズ感です。

幅と高さがピッタリ合うように意識しました。

ヘリ革・指芯・ウェブ作成が終わりいよいよ革紐で組み上げて完成です!

完全一点ものファーストミットが完成

革紐ですべてのパーツを繋ぎ完成です!

いかがでしょうか?

初めてのファーストミット作成にしてはなかなかきれいにまとまったと思います。

今回初めてのファーストミットに着手してからやはり時間は結構かかってしまいました。

材料の追加発注や型紙の調整、パーツ作成でのミスなどトラブルはいくつかありましたが、完成品は上々だと思います。

各所パーツの切り口の精度や縫製の精度など改善の余地はありますが、なんといっても一番の収穫は型と捕球面の感覚が抜群に良く仕上がったことです。

やや広めの捕球面、力が伝わりやすい開閉感、シャープな形状など私が理想とするファーストミットの型をほぼほぼ実現することができました。

これは間違いなく捕りやすいなと完成品に手を入れて感じる事が出来ました。

正直、初めて作成したファーストミットがここまでいいモノになるとは思っていませんでしたが、各パーツの型紙の調整とパーツの配置設定をしっかり行えたことにより良い仕上がりになったのだと思います。

手作りしたファーストミットを見てみよう!

今回初めて作成したファーストミットですが、これからラインナップに増やしていこうと思います。

しっかりと準備して挑み、予想よりも高い完成度に仕上げることができました!

完成したファーストミットを見ていきたいと思います。

今回はグリーン、シルバー、ブロンドの三色を配置しました。

三色カラーがうまくマッチしたのではないでしょうか。

サイズ感は一般的な大きさで扱いやすいと思います。

また、捕球面はやや広め設計で野球のみではなくこの通りソフトボールにも対応できます。

型に関してはオーソドックスで扱いやすくなっています。

こちらは手口部分です。

今回は手口裏部分にムートンを採用しフワフワの手触りになりました。

また、開閉をサポートする指掛け紐は位置を手前に設定することでしっかり機能を発揮します。

しっかり親指と小指が掛かるファーストミットです。

指の掛かりが良いとミット全体にもしっかり力が伝わり捕球力は確実にアップすると思います。

人差し指を出した際指当たりがストレスにならないよう適度にくぼみができ柔らかくフィットする仕上がりとなりました。

また、手の平部分には播州ブロンドレザーを使用し滑らかな質感となっています。

手を入れた瞬間に感じるフワッとした心地よい着用感はこの手の平のブロンドレザーのおかげです。

捕球面はキレイなくぼみができておりしっかり張り感があり、ソフトボールでもしっかりキャッチングできそうです。

さいごに

今回は初めてのキャッチャーミット製作の様子をご紹介しました。

キャッチャーミットに続き非常に難しかったのですがなんとかファーストミットも完成することができました。

これからさらに精度を高めラインナップを増やしていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

▼9tool factoryオリジナルキャッチャーミットはコチラの『Cミットの部屋』でチェックできますのでぜひ見てみて下さいね!